憲法「改正」案について審議する憲法審査会が動き出し、11月17日に初めて会議を開きました。
憲法「改正」をめぐる動きは2000年に憲法調査会を設置したことから始まりました。つづいて小泉内閣の後を受けた安倍内閣が憲法「改正」の手続き法である国民投票法を2007年に強行採決し、続いて麻生内閣が2009年に憲法審査会規定をふたたび強行採決で定めました。
この二つの法律には民主党は反対していました。したがって民主党政権が成立してからはこの二法は棚上げになっていたのです。
ところが昨年の参議院選挙で民主党は多数をとることができず、いわゆる「ねじれ」国会が生まれ、そのもとで次第に自民党へ接近するようになりましたが、野田内閣は憲法審査会の委員の選任を進め、今回の会議にこぎつけたというのがこれまでの経過です。
この会議では元憲法調査会会長の中山太郎氏が参考人として出席し、これまでの経過について報告するとともに、大震災への対応として非常事態条項など重要な問題があるので,審議を急ぎ、国民的規模での憲法論議が起こることを期待していると訴えました。
その後各党から意見の発表がありました。その要点は次の通りです。
民主党(山花郁夫)
民主党としては2005年に「憲法提言」をまとめ、改憲構想を明らかにしたが、その後改憲の是非だけが争点化され、議論が深められないまま今日に至っている。現在は大震災の復興が最優先であり、憲法論議の優先順位は下がっているが、やはり議論は必要であり、国会でもしっかり議論していきたい。
自民党(中谷元)
しっかり議論して早急に結論を出すべきだ。自民党としては2005年に改憲案を発表したが,前文、9条、地方分権、緊急事態などの条項について改憲案をバージョンアップし、新しい時代に対応できる憲法改正を実現したい。
公明党(赤松正雄)
憲法の三原則(国民主権、基本的人権、平和主義)を変える必要はないが、環境権、プライバシー権などは付け加えても良い。「改憲」か「護憲」かという分け方からいえば「改憲」だが、理念を変えずに付け加えるのだから「加憲」である。
社民党(照屋寛徳)
いかなる改憲策動にも反対。
みんなの党(柿沢末途)
国の形を見直すべき時にきている。道州制、一院制、首相公選制、改憲発議要件を過半数に引き下げなどを進めるべきだ。
国民新党(中島正純)
大震災のような事態に備えて非常事態条項を設けるべきだ。自主憲法制定へ議論を進めてほしい。
共産党は憲法審査会の設置に反対なので委員を出していませんが、笠井亮議員が出席して意見を述べました。