フィトンチッド

三富新田(さんとめしんでん)を歩きました。 

生き物の専門家と植物の専門家が同行するぜいたくな企画でした。 

私には思わず草むしりしてしまいそうな草が、「これは希少な植物です。あ~こんなところに植生していた。すごいですね~」とか、朽ちた木の中で小さな虫がうごめいていても私のようにギャーと叫んで手を振り払ったりせず、機敏に素手でとらえて「この虫は顔が白くて鼻が長いのですよ、ほら」とか、こういうことに全く疎い私にとって目からうろこの一日でした。 

300年も前の江戸時代に開拓され、屋敷林、耕地、雑木林の地割が今も整然と残っている三富新田。人が自然に手をかけ里山を形成し、循環型農業が実現されていた文化的景観です。この雑木林をつぶして宅地造成されたところに私は住んでいるのですから複雑な思いでした。林は相続税対策で手放されるようです。300年続いた自然も景観も、次の世代へ継承するにはこの地域の林の税金を下げる等「守っていく」という確固とした「政治」が必要ですよね。 

汗ばむような陽気の今日、武蔵野の雑木林はひんやりと爽やかで、フィトンチッドを大いに吸い込みました。