戦争法制の廃案を求め、 日本が軍事力によらない平和の実現をめざす道に進むことを訴えます (2015.6.2)

1 安倍政権は、本年5月15日、新規立法である国際平和支援法案と自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態対処法等の10の改正法案(以下、総称して「平和安全法制整備法案」といいます)を国会に提出しました。

 

2 「平和安全法制整備法案」は、①集団的自衛権の行使を法制化するとともに、集団的自衛権によらなくとも、②日本の平和と安全に重要な影響を与える事態と認定しさえすれば、自衛隊を海外に派兵できたり、③紛争当事者の停戦合意がなくとも自衛隊を多国籍軍に参加させることができたり、④PKOでも、「現に戦闘行為」が行われていさえしなければ自衛隊が活動できるとし、駆けつけ警護や治安維持活動といった武力行使の危険の高い業務を自衛隊に行わせたり、国連が関与しない治安維持活動にも自衛隊の参加を認める内容となっています。

  この「平和安全法制整備法案」は、自衛隊の海外派兵の機会を飛躍的に増大させるとともに、自衛隊が武器を使用して「殺し、殺される」事態を現実化させるものです。「平和安全法制整備法案」は、戦争を放棄し、武力行使を禁止している憲法9条を死文化させる「戦争法制」であると言わざるを得ません。

 

3 安倍政権は、「切れ目のない安全保障措置により抑止力を強化する」と戦争法制の必要性を強調します。しかし、第三国の攻撃から他国を守る集団的自衛権が、なぜ日本の抑止力向上につながるのか論理の飛躍がありますし、ましてや「国際協力」の名の下に自衛隊を海外派兵することは、日本の抑止力とは次元の異なる問題です。

  安倍政権は、「戦争法制」により、自衛隊が戦闘に巻き込まれるリスクが増大することすら認めず、国民に「戦争法制」のもつ危険性を誠実に説明しようとしていません。「戦争法制」に対する国民の不安をかわすため、国会審議の中で、「集団的自衛権で海外で自衛隊が活動するのは、ホルムズ海峡しか念頭にない」等、限定的にしか自衛隊を海外派兵しないかような答弁を行っていますが、法律上の制限とはなっていない以上、そのような保障はどこにもありません。しかも、自衛隊を海外へ派兵する際に、内閣がどのような情報に基づき判断したのかという点は、特定秘密保護法の対象となる可能性が高く、適切な運用がなされているか国民が検証することは極めて困難です。

この「戦争法制」により、自衛隊は「切れ目なく」海外への派兵が可能となり、日本が「切れ目なく」戦争に巻き込まれる危険を負うことになります。内閣の判断についての検証も困難となれば、時の内閣に戦争に加担する無限の手段を与えることになりかねません。

 

4 日本は、侵略戦争により、アジア・太平洋地域に戦争の惨禍をもたらし、数多の尊い命を犠牲にしました。この侵略戦争に対する反省に基づき、憲法は二度と戦争を行わないという平和主義の原則に立っています。

 今、日本は、「軍事力による平和の実現」という論理矛盾した道へ進むのか、国際法による解決や、粘り強い外交交渉、貧困の撲滅、軍縮、核兵器廃絶といった軍事力に頼らない手段による平和の実現をめざすのかという岐路に立っています。

 軍事力によって平和と安定がもたらされないことは、「テロとの戦い」を掲げたアメリカの軍事侵攻がかえってISIL(「イスラム国」)を生みだし、テロの脅威を拡大していることからも明らかです。所沢革新懇は、憲法前文及び9条の非戦の誓いが、国際社会やアジア諸国の信頼を獲得してきたことに確信を持ち、日本が武力行使に加担することを許す「戦争法制」を断固拒否します。

 私たちは、戦争法制である「平和安全法制整備法案」の廃案を求めるとともに、日本が戦争や武力行使に加担し、「殺し、殺される国」になることを拒否する多くの国民と連帯し、日本が、軍事力によらない平和の実現をめざす道に進むことを訴えます。

2015年6月2日

平和と革新の日本をめざす所沢懇談会(所沢革新懇)

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