戦争法案の強行採決に抗議し、同法案を廃案に

戦争法案の強行採決に抗議し、同法案を廃案にすることを訴えます


1 強行採決に断固抗議します

 7月16日、政府・与党は、衆議院で戦争法案(国際平和支援法案、及び自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態法等の10本の現行法改定する一括法案)を強行採決しました。

 この戦争法案は、集団的自衛権の行使を解禁し、さらに海外での武力行使をも認める内容で、憲法9条に真っ向から反するものです。

 政府は、1972年の政府見解や砂川事件の最高裁判決を合憲の根拠と主張していますが、前者は集団的自衛権が禁止されるとの結論を無視して、一部の文言を都合よく取り出した主張にすぎず、後者は集団的自衛権について判決の判断対象となっていないことに目をつぶったものです。いずれの主張も、まさに牽強付会の主張と言わざるを得ません。

 憲法研究者の圧倒的多数が、戦争法案を違憲であると断じています。歴代の内閣法制局長官も集団的自衛権の行使容認は憲法に違反すると発言しています。日本弁護士連合会を含め、全国すべての弁護士会が戦争法案は違憲であると表明しています。

 憲法の専門家の圧倒的多数が違憲だと指摘するのは当然のことです。他ならぬ政府自身が今まで集団的自衛権行使は憲法上許されないと説明してきたのです。戦争法案を推し進める安倍首相も高村自民党副総裁も、自身が閣僚の時はそう答弁してきました。今の政府がどんなにごまかそうと、戦争法案が憲法に反する違憲立法であることは明らかです。

 国民の間にも、衆議院の審議がすすめば進むほど戦争法案に反対する国民が増え、マスコミ各社の世論調査では過半数に達しています。また同法案に違憲であると考える国民も過半数に達しています。8割以上の国民が政府の説明が不十分だと考えているとの調査もあります。国会の周辺でも2万人、6万人といった規模の国民が反対の声を届けようと連日集まり、全国各地で国民が戦争法案に反対する集会やパレードに多くの国民が参加しています。

 衆議院における強行採決は、憲法も国民の声も踏みにじるものであって断じて許されません。私たちはこれに断固抗議します。


2 参議院議員の皆様に訴えます

 今後、戦争法案を審議する参議院議員の皆様に訴えます。

 今、戦後日本の政治や外交で重要な役割を果たしてきた、憲法9条の平和主義を捨て去るのか否かが問われています。

 戦争法案で抑止力を高め日本の安全を守ると政府は言って、これまで積み重ねられてきた国会での議論を否定してしまいました。戦後政治そのものの否定と言っても過言ではありません。

 なぜ、他国の戦争に加わることが日本の抑止力を高めることになるのか。なぜ、国際協力の名の下に自衛隊に殺し殺される危険のある任務をさせることが日本の安全を守ることになるのか、もう一度考えていただきたいと思います。

 そして、憲法9条と並んで、今問われているのは、日本が立憲国家であることを放棄してしまうのかどうかです。

 戦後日本は、憲法に定められた人権や国民主権、民主主義などの普遍的な価値を国際社会と共有し、憲法に定められた平和主義によって国際社会の信頼もかちえてきました。

 ところが、政府は、憲法に違反する法案を国会に提出し、あろうことが衆議院はそれを通過させてしまいました。弁明のしようもない暴挙と言わざるを得ません。

 仮に、集団的自衛権行使がどうしても必要だというのであれば、憲法改正の発議を行わなければなりません。集団的自衛権が必要だといくら連呼しても、憲法に反する法律を正当化することはできません。憲法改正の手続きをとることなく、時の内閣が解釈の変更で憲法の内容を変えられるとすれば、憲法はあっても形だけのものになってしまいます。もはや日本は、形ばかりの憲法しか持たない国、憲法に基づき国の運営が行われる立憲国家ではないということになってしまいます。

 自分の国の憲法を守らない政府が国際社会の信用を得られるでしょうか。

 憲法を守らない国会が制定した法律をどうして国民に守れと言えるのでしょうか。

 特に与党議員の皆さんに訴えます。

 皆さんは、どの政党に所属していようと、「全国民の代表」であって政党の代弁者ではありません。日本の国民の行く末を左右するこの重要な法案について、自らの責任で判断していただくよう切にお願いいたします。憲法に反する法律の成立させ、憲法の法的価値を無にし、国際社会から憲法を守らない国とさげす蔑まれる国になることに手を貸すのかどうか、国会議員一人ひとりが歴史の審判に問われます。

 是非、国民の負託に応え、戦争法案を廃案にするように訴えます。


2015年7月17日

平和と革新の日本をめざす所沢懇談会(所沢革新懇)

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